
FPVドローンを飛ばしたいと思ったとき、「アマチュア無線免許が必要なの?」「資格を取れば即飛ばせるの?」という疑問を抱く人がほとんどです。
結論からお伝えすると、5.8GHz帯のVTX(映像送信機)を使ったFPV飛行には、第四級アマチュア無線技士の資格取得に加え、無線局の開局申請がセットで必要になります。
資格だけでは電波を発射できません。
本記事では、「どの周波数・どの用途で何の資格が要るか」という判断基準から、第四級アマチュア無線技士の取得方法(費用・期間・合格率)、開局申請の具体的な手順と必要書類・費用まで、FPV初心者が一人で手続きを完結できるよう順を追って解説します。
まず確認|FPVドローンで「何の電波」を使っているか

FPVドローンの無線通信は、大きく2種類に分かれます。
①操縦のための制御通信(プロポ→機体)と、②映像を地上に送るFPV映像伝送(VTX→ゴーグル/モニター)です。
免許が必要になるのは、主に②の映像伝送です。
| 通信の種類 | 主な周波数帯 | 免許の要否 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 操縦(制御)通信 | 2.4GHz帯 | 原則不要 | 技適マーク付き機器を規格内で使用する場合 |
| FPV映像伝送 | 5.7 / 5.8GHz帯 | 原則必要 | アマチュア無線技士資格+開局申請が必要 |
| FPV映像伝送 | 2.4GHz帯 | 不要 | 技適取得済みの国内正規品(例:DJI Avata 2 + DJI Goggles 3)は免許不要 |
FPVドローンを飛ばすために、必ずアマチュア無線が必要というわけではありません。
まずは手元の機材が、技適取得済みの国内正規品かどうか、そしてVTXの使用周波数帯を必ず確認してください。
2024年4月に日本で正式発売されたDJI Avata 2は2.4GHz帯で通信を行うため、無線免許・資格・開局申請が不要です。
ただし目視外飛行に該当するため、国土交通省への飛行承認申請は別途必要です。
免許不要でFPVを飛ばせる条件(技適マーク付き機器)

免許不要でFPVを合法的に楽しめるケースもあります。
技適マーク付きの2.4GHz帯デジタルFPVシステムを、メーカー指定の設定のまま使う場合です。
例えば2024年4月に日本で正式発売されたDJI Avata 2(DJI Goggles 3との組み合わせ)は2.4GHz帯を使用しており、無線免許・資格・開局申請は要りません。

免許不要かどうかを確認するチェックポイントは、以下の3点です。
- 機体・送信機・映像系機器それぞれに技適マークの表示があるか
- 使用する周波数帯と送信出力が仕様書に明記されており、規格内に収まっているか
- 改造・海外向け設定変更によって技術基準適合の条件から外れていないか
電波法と航空法の両方を同時に満たす必要がある

FPVドローンの合法運用には、電波法(無線局免許・運用条件の遵守)と航空法・小型無人機等飛行禁止法(飛行許可・承認)の両方を同時にクリアする必要があります。
無線が適法でも飛行が違法なら、ドローンは飛ばせません。
FPVはゴーグルを装着して操縦するため、「目視外飛行」に該当します。
航空法では、目視外飛行は国土交通省への飛行承認申請(特定飛行の承認)が必要ですので、飛行開始前に以下を確認してください。
| 確認事項 | 根拠法令 | 手続き先 |
|---|---|---|
| 無線設備の免許条件遵守 | 電波法 | 総合通信局 |
| 目視外飛行の承認 | 航空法 | 国土交通省(DIPS) |
| 飛行禁止区域の確認 | 航空法・小型無人機等飛行禁止法 | DIPS / DJI Fly Safe など |
| 自治体・施設のルール確認 | 各自治体条例・施設管理規則 | 各自治体・施設管理者 |
資格が必要になるケースを「用途別」に整理する

同じ5.8GHz帯のFPV映像伝送でも、趣味(非営利)か業務(商業利用)かによって取得すべき資格が異なります。
この判断を間違えると、資格を取得しても適法運用にならないため、最初に用途を確定してください。
| 用途 | 具体例 | 必要な資格 |
|---|---|---|
| 趣味・個人(非営利) | ドローンレース、個人の空撮練習、FPVフリースタイル | 第四級アマチュア無線技士(4アマ) |
| 業務・商業利用 | 有償空撮受託、賞金制レース出場、YouTube広告収益目的の撮影、産業用ドローンの映像伝送 | 第三級陸上特殊無線技士(3陸特)以上 |
電波法施行規則第3条第1項第15号では、アマチュア無線を「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練・通信・技術的研究の業務」と定義しています。
有償撮影の受託やイベントへの有償参加は「業務」と判断される可能性が高く、アマチュア無線技士では対応できません。
迷う場合は、対価が発生するかどうかを基準に厳しめに判断してください。
第四級アマチュア無線技士と第三級陸上特殊無線技士の違い
第四級アマチュア無線技士(4アマ)と第三級陸上特殊無線技士(3陸特)との違いについて、分かりやすくまとめました。
| 比較項目 | 第四級アマチュア無線技士(4アマ) | 第三級陸上特殊無線技士(3陸特) |
|---|---|---|
| 主な用途 | 趣味・個人のFPVドローン | 業務・産業用ドローンの映像伝送・制御 |
| 試験科目 | 法規・無線工学(各12問) | 法規・無線工学(各12問) |
| 合格基準 | 各科目8問以上正解(6割以上) | 各科目8問以上正解(6割以上) |
| 取得ルート | 国家試験・養成課程(講習会・eラーニング) | 国家試験・養成課程(講習会) |
| 営利目的の運用 | 不可 | 可 |
将来的に業務利用や産業用ドローンへのステップアップを視野に入れているなら、最初から第三級陸上特殊無線技士を取得しておくのが効率的です。
趣味の範囲で楽しむ段階では、まず第四級アマチュア無線技士を取得してFPV飛行を始め、必要に応じて上位資格に切り替えるという順に進めましょう。
2.4GHz帯と5.8GHz帯の違いと免許が必要な理由

次に、2.4GHz帯と5.8GHz帯の違いは何なのか、そして5.8GHz帯に免許が必要な理由について、解説します。
2.4GHz帯が原則免許不要の理由
市販ドローンの操縦電波として多い2.4GHz帯は、技適マーク付きの送信機・受信機を、改造せず、メーカー規定の出力・設定のまま使う限り、無線局免許は要りません。
2.4GHzだから安全というよりも、「技適適合品を規格内で使うので免許不要」という考え方が正確です。
一方で、以下のいずれかに該当する場合は、2.4GHz帯でも電波法違反になります。
- 送信出力を上げる改造を行った場合
- 技適マークのない海外製送信機をそのまま使用した場合
- 海外向けファームウェアに書き換えて出力・周波数が変わった場合
5.7/5.8GHz帯のFPV映像伝送で免許が必要な理由
アナログVTXが使う5.7/5.8GHz帯は、連続的な映像信号を発射する「無線局の運用」に該当し免許が必要です。
5GHz帯は航空無線や気象レーダーなど多くの無線システムが同居しており、アマチュア無線は一次業務に妨害を与えないことが義務づけられています。
FPVは屋外で距離が伸びやすく混信リスクが高いため、免許制度によって管理されているのです。
第四級アマチュア無線技士の取得方法|費用・期間・合格率を比較

第四級アマチュア無線技士の取得ルートは①国家試験(CBT方式)と②養成課程(講習会・eラーニング)の2通りです。
| 比較項目 | 国家試験(CBT方式) | 養成課程(講習会) | 養成課程(eラーニング) |
|---|---|---|---|
| 試験機関 | 公益財団法人 日本無線協会 | JARD / QCQ企画 など | QCQ企画(第4級対応) |
| 受験費用 | 約5,400円 | 約22,000〜23,000円 | 約16,000〜17,000円 |
| 学習期間の目安 | 1〜2ヶ月(1日1〜2時間) | 2日間(講習+修了試験) | 自分のペースで進行 |
| 合格率 | 約76%(令和5年度) | 約95%(JARD公表値) | 約95%程度 |
| 試験会場 | 全国300か所以上のテストセンター | 全国各地の開催会場 | 自宅・修了試験は会場 |
| スケジュール | 年間を通じて随時受験可 | 開催日程に合わせる必要あり | 修了試験の日程に合わせる |
| こんな人に向く | 費用を抑えたい・自分のペースで進めたい | 短期間で確実に取得したい | 通勤時間などスキマ時間を使いたい |
特に「電波法の目的」「アマチュア無線の定義」「無線局の免許手続き」の3分野は、開局申請の実務にも直結するため、理解を深めておくと後の手続きがスムーズです。
試験内容や取得後の手続きについては、次の記事で詳しく解説しています。

アマチュア無線4級で出来ること4つ! その魅力と注意点を解説
本記事では、アマチュア無線4級の資格を取ると出来るようになる「4つのこと」に加え、資格の取得方法と無線局開設までのステップ、資格を取るメリットや注意点を解説します。
資格取得後に必要なこと
資格取得後には、開局申請して無線局免除を取得しなければなりません。
資格(無線従事者免許証)を取得しただけでは、5.8GHz帯のVTXから電波を発射できないので、電波を出すには「無線局免許」が別途必要です。

車に例えると、運転免許(資格)と車検・登録(開局)は別物で、どちらか片方だけでは公道を走れないのと似ています。
無線局免許を取得するには、「開局申請」という手続きを行います。
無線局の開局申請|手順・必要書類・費用・期間を完全解説

開局申請は多くのFPV初心者が難しそうに感じる部分ですが、手順を正しく理解すれば自力で完結できます。
全体の流れは次の4ステップです。
開局申請の4ステップ
ステップ1|VTXの系統図・技術資料を入手する
申請に必要な「送信機系統図」は、VTX購入時に付属している場合と、メーカー・販売店から入手する場合があります。
系統図が入手できないVTXは開局申請が事実上不可能なため、購入前に系統図の提供有無を販売店に確認してください。
国内申請実績のあるVTXを選ぶと資料入手がスムーズです。
ステップ2|JARDによる保証認定を取得する(技適なしVTXの場合)
FPV用VTXの多くは海外製で技適マークがありません。
技適なしのVTXをアマチュア無線局として使うには、JARD(一般財団法人日本アマチュア無線振興協会)による「基本保証」が必要です。
なお、これまでJARDとともに保証業務を行っていたTSS株式会社は、2024年3月31日をもって保証業務を終了しており、現在、保証認定を行う機関はJARDのみです。
| 保証機関 | 保証料 | 備考 |
|---|---|---|
| JARD(日本アマチュア無線振興協会) | 1台目:5,500円 2台目以降:1,100円/台 | 現在唯一の保証実施機関。JARDホームページにFPVドローン専用の記入例・手続き参考資料あり |
ステップ3|総合通信局へ開局申請を行う
申請方法は電子申請(総務省「電波利用 電子申請・届出システムLite」)と書面申請の2種類があります。
電子申請の方が書面申請より申請手数料が1,400円安く、進捗管理もしやすいため推奨です。
ステップ4|審査を経て免許状を受領する
2025年10月以降、無線局免許状は原則としてデジタル免許状(電子データ)での交付に移行しました。
紙の免許状の郵送待ちが不要になり、審査通過後すぐに運用を開始できます。
開局申請に必要な書類・費用・期間のまとめ
開局申請に必要な書類と金額詳細は以下の通りです。
| 項目 | 内容・金額目安 |
|---|---|
| 無線局免許申請手数料(電子申請) | 2,900円 |
| JARD基本保証料(VTX1台の場合) | 5,500円 |
| 電波利用料 | 年額300円 |
| 合計目安 | 約8,700円(初年度・VTX1台の場合) |
| 審査期間の目安 | 保証認定含め、申請開始から1〜2ヶ月程度 |
イベント出場や特定の日程に合わせてFPV飛行を開始したい場合は、飛行希望日の2〜3ヶ月前には申請手続きを開始することをおすすめします。
開局後の運用ルール(これを守らないと電波法違反)
開局後は免許された条件の範囲内でのみ電波を発射できます。
以下の点を運用前に確認してください。
- 免許された周波数・出力・電波型式以外は使用禁止(チャンネルを変更しただけで免許条件を外れる場合あり)
- コールサイン(呼出符号)の定期的な送出が義務
- 免許された設備以外のVTXへの変更は変更申請が必要
- 混信・妨害を起こさないよう、他の無線システムへの配慮が必要
よくある疑問Q&A

Q1. アマチュア無線の4級と3級は何が違いますか?
FPVドローンの運用に限定すると、4級(第四級アマチュア無線技士)で運用できる電波出力は50MHz帯以上で20W以下、3級(第三級アマチュア無線技士)は50W以下です。
実際のVTXが使用する出力は25mW〜1,000mW程度のため、FPV用途では4級で十分に対応できます。
試験内容の違いは、3級にはモールス符号(電信)の科目が追加される点です。
Q2. YouTube投稿やSNSでのドローン動画にはアマチュア無線が使えますか?
広告収益を目的としたYouTube投稿は「利益のための運用」と判断される可能性が高く、アマチュア無線技士では対応できないケースがあります。
収益化の有無にかかわらず、業務性が伴う場合は第三級陸上特殊無線技士の枠組みで確認してください。
Q3. 産業用ドローンにもアマチュア無線で対応できますか?
産業用ドローンの業務利用(農薬散布、測量、点検など)には、アマチュア無線では対応できません。
産業用ドローンで5.7GHz帯・5.8GHz帯の映像伝送や制御通信を業務として行う場合は、第三級陸上特殊無線技士以上の資格が必要です。
使用する無線設備の周波数・出力・方式によって要件が異なるため、導入前に設備仕様と照らし合わせて確認してください。
Q4. 海外製のVTXはそのまま使えますか?
海外製VTXの多くは、日本のアマチュア無線局で認められていない周波数を発射する機種です。

国内でアマチュア無線局として免許を受けるには、電波法の技術基準に適合するよう改造し、JARDの基本保証を受ける必要があります。
技適なし・改造なしの状態での使用は電波法違反になるため、購入前に対応メーカーか国内正規代理店の製品かを確認してください。
資格取得から合法FPV飛行までのスケジュール目安

資格取得から開局完了まで、全体でおよそ3〜4ヶ月を見込んでください。
| フェーズ | 作業内容 | 期間目安 |
|---|---|---|
| ①学習・受験準備 | 過去問学習、受験申込(CBT) | 1〜2ヶ月 |
| ②資格取得 | CBT受験・合格→従事者免許申請 | 2〜4週間(申請処理期間含む) |
| ③機材選定・系統図入手 | VTX選定・系統図の確認・入手 | 並行して進める |
| ④JARD基本保証申請 | JARDへ申請書類を提出 | 1〜4週間 |
| ⑤開局申請・審査 | 電子申請Liteで総合通信局へ申請 | 1〜3週間 |
| ⑥デジタル免許状受領・運用開始 | 免許状受領、コールサイン確認 | 審査通過後即日(2025年10月〜) |
まとめ

今回は、FPVドローンにアマチュア無線が必要かどうかについて解説しました。
結論として、「どの周波数帯のVTXを使うか」「趣味か業務か」の2軸で決まります。
5.8GHz帯のアナログVTXを趣味で使う場合は、第四級アマチュア無線技士の資格取得と無線局の開局申請がセットで必要です。
本記事で解説した手順をまとめると、次の流れになります。
- 用途を確定する(趣味→4アマ、業務→3陸特)
- 機材の技適・系統図を確認してVTXを選定する
- 第四級アマチュア無線技士を取得する(CBT受験か講習会)
- JARDで基本保証を取得する(現在唯一の保証実施機関)
- 電子申請Liteで開局申請を行い、デジタル免許状を受領する
- 電波法・航空法の両方を確認してから飛行する
資格取得と開局申請を完了させれば、合法的にFPVドローンを楽しめる環境が整います。
知らないうちに電波法違反になるリスクを避けるためにも、機材選定の段階から本記事のチェックポイントを活用してください。
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