無線機の処分総合ガイド 簡単・適正に処分する方法のすべて

不要になった無線機をどうすればいいのかお困りですか。
本記事では、 無線機を楽に処分する方法として 「売る」ことをご提案します。
また、 適正な仕方で「捨てる」方法も解説します。
無線機をなるべく 楽に、 コストをかけずにお片付けする際の一助となれば幸いです。
目次<クリックして開く>
無線機の処分方法は2つ:「売る」か「捨てる」か
無線機の処分というと「捨てる」方法が最初に思い浮かびます。
しかし、中古の無線機は売れる場合も多いので、まずは「売る」ことを検討し、売れなければ「捨てる」のがおすすめです。

無線機は燃えず環境に返らない材質を多く含むため、捨てるにも様々な手間や費用がかかります。
売った方が、結果的には楽であることも多いのです。
無線機を「売る」ほうが得な理由
① 捨てるにもお金がかかる! 売ればむしろプラスに
無線機を捨てる際には、多額の費用が必要な場合があります。
粗大ゴミの回収や、業者への依頼料金は以下が相場となっています。
廃棄の方法 | 費用 |
---|---|
自治体の粗大ゴミ回収 | 200円~500円(1個あたり) |
家庭向け不用品回収業者 | 10,000〜25,000円(軽トラック1台) |
産業廃棄物処理業者(業務で使った無線機) | 8,000円〜5万円(1㎥あたり)+ 事務手数料、出張料など |
無線機を 売ることができれば、これらの費用はかかりません 。
むしろ、臨時収入を得られる可能性もあります。
② 捨て方の確認が面倒! 自治体独自の基準や法律の規制

無線機は、自治体によって捨て方が全く異なります。
自治体独自の分別基準を調べる、 無線機の大きさを見て判断する等の手間 が必要になります。
また、事業で使った無線機の場合は大きさや量に関わらず「産業廃棄物」です。
産業廃棄物を捨てるには、許可を持った専門業者に依頼 しなければ法律違反となります。
さらに、無線機に付属する バッテリー(充電式電池)は分別が必要です 。専用の回収場所を確認するか、回収できる業者に頼む必要があります。
売る場合なら、こうした手間を一気に回避 できます。
③ 重くてかさばる! 持ち運びがひと苦労

無線機はサイズや重量があるものも多く、複数台ある場合は 動かすだけでも大仕事 です。
粗大ゴミの指定場所まで持ち込むのも一苦労ですし、細かいケーブルや小物など、どこまでが無線機に必要な部品かわかりません。
売る場合は 「出張買取」をしてくれる業者に依頼すると、自分で動かさなくても処分できます。
ご自宅に店員が訪問し、お値段がつけば、棚から取り外して運び込みまで済ませてくれるのです。
(※運び出しの範囲は業者によります)
すべての無線機が売れるわけではない
残念ながら、種類や発売時期によっては売れない無線機もあります。
しかし種類や発売時期を調べようにも、無線機はどれも似たような見た目をしています。
売れる無線機なのかどうかわからない場合は、無線機を買取るお店に相談してみるのがよいでしょう。
無線機を売る際は、専門店に任せるのがおすすめ
より楽に、損をしないように売りたい場合は、無線機の専門店に相談することをおすすめします。
専門店の利点1:様々な無線機に対応可能

▲無線機専門店「高山無線」が買い取っている主な無線機やラジオ
無線機の専門店は、売れる無線機の種類が多いことが特徴です。
町のリサイクルショップでも、無線機の買取相談は受けてくれます。
しかし、以下のような無線機は断られてしまう場合が多いです。
・古いモデル
・状態が悪い、汚れている
・真空管を使った機種
・コレクション性の高い海外のビンテージ機種
無線機の専門店なら、このような無線機も買い取ってくれるかもしれません。
専門店に特有の、需要の高い無線機を知っているからです。
専門店の利点2:便利な出張買取

家まで無線機を引取りに来てくれるサービス(出張買取)を行う専門店も多くあります。
配線や機材がゴチャゴチャになっていても、出張買取なら安心です。スタッフが丁寧に取り外して持ち出してくれるので、とても楽に売ることができます。
お店によっては、 無料で出張してくれるところもあります。
専門店の利点3:細かな情報提供

無線機の専門店は、様々な疑問に答えてくれます。
店によっては無線機一つ一つの値段や、宅配便で送るときの段ボールへの入れ方まで丁寧に説明してくれます。
無線機は、へたに触ったら壊しそうで怖いものです。
専門店に相談すれば、扱い方を心得ているプロの意見がもらえます。
フリマアプリやネットオークションで売ることも可能

「Yahoo! オークション」や、「メルカリ」等のサービスに無線機を出品して売る方法もあります。
- 高値になりやすい
利用者間で直接取引するため、合意できれば高額で売れる場合があります。
- 知識が必要
- 手間がかかる
Webに載せる際には、商品の情報を調べ、写真を撮り、付属品や状態の説明を書かなくてはならないからです。
十分な説明を行わなければ、トラブルやクレームのリスクがあります。

また、購入希望者から無線機の動作や状態について質問があれば、答える必要があります。
自分で無線機を段ボールに入れ、発送の手続きを行う余裕も必要です。
総合的に考えると、買取店に相談するほうが楽だといえます。
無線機を廃棄する場合
次の場合には、無線機の廃棄を検討しましょう。
- ・買取店に相談したが、売れないと言われてしまった
- ・無線機を欲しがっている知人はいない
- ・明日までには必ず部屋を空にしなければならない
趣味か仕事用かで廃棄方法が異なる

無線機の廃棄の際は、その無線機を「趣味で持っていたか」「仕事で使っていたのか」を確認しましょう。
用途によって、全く廃棄方法が異なってきます。
趣味用の無線機の廃棄方法と注意点
「アマチュア無線」を代表とする趣味用の無線機を捨てる方法は、主に3つあります。
それぞれの特徴と注意点を解説します。
① 小型家電回収ボックスでリサイクルする
趣味用の無線機は、ラジオやゲーム機等と同じ「小型家電」として回収対象になる場合があります。
家電量販店や公共施設の回収ボックスに投入することで、多くの場合無料で処分できます。

画像出典:使用済み小型家電のリサイクル お住まいの市町村の分別ルールに従い、正しくリサイクルを | 政府広報オンライン
回収後はリサイクルされるので、環境への負荷も少なくおすすめの方法です。
※決められた収集日に、資源ごみ集積所に集めて回収する場合もあります。
自治体や場所によって回収できる最大サイズが異なります。
市町村 | 回収可能な小型家電 |
---|---|
埼玉県さいたま市 | 「30cm×15cm」の投入口から入る家電製品と付属品 (さいたま市HPより) |
東京都江東区 | 15×25センチメートル以下の小型家電 (江東区HPより) |
神奈川県横浜市 | 投入口(30センチ×15センチ)に入る長さ30センチ未満の、 電気・電池で動作する製品 (横浜市HPより) |
※上記例は2025年9月時点のものです。
最新の情報は「お住まいの自治体名+小型家電リサイクル」で検索してみてください。
② 不燃ゴミや粗大ゴミとして捨てる
趣味で使用していた無線機は、自治体のルールに従って家庭ごみ(不燃/粗大ゴミ)として出せる場合があります。
粗大ゴミとして捨てる場合は、費用や予約が発生することが多いです。
無線機のサイズや材質によって扱いが変わります。
市町村 | 無線機は何のごみになるか | 粗大ゴミ処理料金 |
---|---|---|
埼玉県飯能市 | 粗大ごみ ※ハンディタイプは「不燃ごみ」 (飯能市「ごみ分別事典」 より) |
400円 |
東京都江東区 | 燃やせないごみ(30cm未満) 粗大ゴミ(30cm以上) (江東区「ごみの出し方・分別検索」 より) |
200円または300円 |
神奈川県横浜市 | 粗大ごみ 金属製の場合。30cm未満のものは小さな金属類へ 燃やすごみ プラスチック製の場合。50cm以上のものは粗大ごみへ (横浜市「ごみと資源物の出し方一覧表」 より) |
200~1500円(材質によって異なる) |
※上記例は2025年9月時点のものです。お住まいの自治体の最新情報をご確認ください。
③ 不用品回収業者に依頼する
無許可の業者に依頼すると、不法投棄や高額請求などのトラブルにつながる可能性があります。

業者を選ぶ際には、許可の有無や実績、料金体系などを確認し、信頼できる事業者に依頼することが大切です。
業務用無線機の廃棄方法と注意点
仕事で使っていた無線機は、量やサイズに関わらず「産業廃棄物」として扱われます。
産業廃棄物は、家庭の小型家電や粗大ゴミと一緒に回収に出すことはできないので注意してください。
事業者から排出される小型家電及び電池類は産業廃棄物となるため、小型家電回収ボックス及び電池回収ボックスには投入できません。
産業廃棄物として適正に処理をしてください。
(さいたま市/家庭から出た小型家電・電池を回収しています! より引用)
産業廃棄物の処理には、細かい法的な規制がありますので注意しましょう。
- ・許可を持つ収集運搬・処分業者と契約して廃棄しなければならない
- ・廃棄する事業者はマニフェスト(管理票)を発行・管理する義務がある
産業廃棄物処理の許可を持つ業者は、自治体の公開情報や業界団体(例:東京都産業資源循環協会)を通じて探すと安心です。
バッテリー(電池)を含む無線機の廃棄方法
バッテリー(電池)が使われている無線機を捨てる場合は、本体から電池を外して適切に廃棄しましょう。
電池・バッテリーを外せるかどうか確認
まず、無線機からバッテリーを取り外せるかどうか確認します。

バッテリーを外せる場合は、外した本体を小型家電リサイクルに出します。
取り外した 電池・バッテリー は、適切な回収場所に持っていきましょう。

画像出典:小型充電式電池 リサイクル講座 【九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会】
電池・バッテリーは適切な回収場所に出す
リチウムイオンバッテリーは、衝撃や熱によって発火する危険があります。火災や爆発事故の原因にもなるため、一般のごみと混ぜて捨てることは厳禁 です。

画像出典:(公財)日本容器包装リサイクル協会
電池・バッテリーの回収場所はどこ?
市役所等の公共機関に回収場所を設けている自治体もあります。

画像出典: 羽生市ホームページ
自治体のホームページや、「JBRC」(電池の回収を行う一般社団法人)のサイトで調べてみてください。
取り外した電池・バッテリーは絶縁しておく
取り外した電池の端子部分には、テープを貼り絶縁処理を行うと安全です。

他の電池と触れ合って、ショートし破裂するなどの事故を防止できます。
電池・バッテリーを外せない場合
電池が本体と一体になっていて外せない無線機は、無理に分解しないでください。
そのままの状態で小型家電リサイクルの回収ボックスを利用するか、不燃ごみとして廃棄します。
(業務用の場合)適切な事業者に処理を依頼する

産業廃棄物処理業者には、扱える廃棄物の種類が細かく決められています。 バッテリー類を処理できない業者には依頼しない ように気をつけましょう。
【補足】アマチュア無線局免許の廃止手続
アマチュア無線機を処分する場合、無線局免許の廃止手続きをする必要があります。
無線局免許の廃止手続きをしていないと、免許の有効期限まで毎年「電波利用料」の支払いが必要になってしまいます。
無線機の処分を決めたら、なるべく早めに手続きを行うのがおすすめです。
廃止届を準備し提出する

廃止届の様式・提出先は、免許を受けた総合通信局によって異なります。
無線局の免許を確認し、該当の総合通信局のページで様式を準備してください。

↑アマチュア無線局の免許状の例。右下に「関東総合通信局」の記載がある。
各総合通信局 廃止届のページ
各総合通信局の廃止届案内ページはこちらです。
アマチュア無線局以外の免許について
デジタル簡易無線等を使用していた場合も、同じように免許廃止の手続きが必要となります。
上記のリンクから、お近くの総合通信局にお問合せください。
まとめ
無線機の処分には、「捨てる」だけでなく「売る」のも有力な選択肢です。
もしお持ちの無線機が高く売れれば、コストがかからず処分することができます。
売れなかった無線機は自治体や関係法令にしたがい、適正に回収や廃棄を進めましょう。
また、事前に無線局の廃止手続きも行うと完璧です。